『清代知識人が語る官僚人生 /東方選書62』 東方書店 山本英史 著 読み物

清代の知識人がめざした官僚人生とは何だったのか


『清代知識人が語る官僚人生 /東方選書62』 東方書店 山本英史 著 読み物

東方書店plus

2,640 円 (税抜き)

科挙に合格できる受験能力と官僚として生身の人間を相手に機敏に対処する実務能力とはまったく性質の異なるものであり、そこでの成功、というより失敗しないことは科挙に合格するよりも難しかった。そこで、科挙に合格して、知県という県の長官を担当し、役人のためのハンドブックである官箴書『福恵全書』も著わした黄六鴻(こうりくこう)なる知識人を本書のナレーターとして、順風満帆あるいは「治国平天下」の官僚人生を手に入れるのにはいかなることが重要だったのかについて語ってもらった。
●著者の言葉 日本の江戸時代の奉行所やそこで働く役人については時代劇や時代小説の影響もあって一般になじみがあるように思われるが、中国の同時代の状況についてはあまり知られていない。とりわけ知県本人のその時々の想いなどというものは書物には残されにくいものである。だからこそ、本音を語ることを信条する黄六鴻にナレーターを引き受けてもらい、当時の心情を彼自身の口を通して語ってもらった。読者には日本と中国との官僚社会の相違点をご理解いただき、その上でそこに通底する人間環境としての共通点を再認識していただければ幸いである。(「あとがき」より)
●構成 第一章 官僚への道 一 生家の環境 二 入学試験 三 生員の生活 四 挙人への挑戦 五 進士をめざして 第二章 官僚人生の始まり 一 赴任地の決定 二 赴任の支度 三 スタッフの募集 四 着任直前の心得 五 着任直後の心得 第三章 知県という職業 一 知県の立つ所 二 知県の居る所 三 知県の理想型 四 知県の業務 五 知県の生活 第四章 知県の人間対応 一 官僚 二 吏役 三 紳士 四 人民 第五章 黄六鴻の事件簿 一 新任知県の試練 二 誣告案の裁定 三 サルでネズミを捕まえる 四 脅迫する生員 五 捕役 六 巨魁の討伐 七 土地争い 八 疑獄 第六章 その後の人生 一 勤務評定 二 離任の心得 三 離任時のパフォーマンス 四 徳政顕彰の実態 五 転勤・昇進・退官 参考文献 図表出典
■編著者紹介 山本英史(やまもと・えいし)  一九五〇年、滋賀県草津市生まれ。東洋文庫研究部研究員、南開大学歴史学院講座教授、慶應義塾大学名誉教授。博士(文学)。 東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。山口大学人文学部講師・助教授、慶應義塾大学文学部助教授・教授を経て現在に至る。 専門は明清史・中国近代社会史。主要著作として『郷役と溺女――近代中国郷村管理史研究』(汲古書院、二〇二一年)、『赴任する知県――清代地方行政官とその人間環境』(研文出版、二〇一六年)、『清代中国の地域支配』(慶應義塾大学出版会、二〇〇七年)『現代中国の履歴書』(慶應義塾大学出版会、二〇〇三年)などがある。

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